太阳系的诞生 太阳系的诞生 一、太阳的诞生和SiO2的形成

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1.太陽の誕生と「SiO2」の形成

目次

1-1 1-2

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1-3 解説へ

平成元年11月9日付の読売新聞の社会欄に、星

の誕生をとらえたという記事が掲載されていた。 「星

の誕生」は、名古屋大学のグループが電波望遠鏡を用

い、オリオン座にある M42(オリオン星雲:赤緯-5

度の赤道上空、1500光年の銀河系内にある密度の高い

星間雲で、新しい星の誕生の場とされている)付近で

観測に成功した。

同グループは、一酸化炭素が高温に熱せられた時

に放出する周波数115.3GHzの電波に着目し、新たに 図 1-1 成長過程にある原始星(原始太陽)

誕生しつつある原始星での、一酸化炭素の振る舞いを電波望遠鏡で追っていた。 太陽などの星の材料となった星間ガスが、どのようにして集積していくかを突き止めようとしたのである。 その結果、オリオン星雲付近にある6個の原始星は異常に輝いており、いずれも2方向(図 1-1の上下方向)に、一酸化炭素を含む熱いガスを噴き出しているのが発見された。

この事実は、形成初期の原始星が、水素やヘリウムの他にも一酸化炭素などを含んだ星間ガスを、水平方向から猛スピードで吸引していることを意味している。 そして星間ガスの重力エネルギーを、熱エネルギーに変えて高温のガス体となり、そのごく一部を自転軸にそって上下方向から噴出しているものと考えられる。 更にこの現象は、その後ゕメリカの「ハッブル宇宙望遠鏡」によってハービック・ハロー天体でも確認されている。 つまり原始星の周りには、既に円盤状となって回転している濃密な星間ガスが存在し、太陽を初めとする星の誕生は、最初に星間ガ

スの円盤作りから行われたと言うことができる。 宇宙の始めにおいても同様に、「ビッグバン」によって生成した膨大な量の水素とヘリウムが何らかの原因で吹き寄せられ、至る所に形成された円盤が初期の銀河であると言ってもよい。 従って、星が誕生する場合は、星間ガスの円盤の大きさにもよるが、かつて銀河が形成された時に渦巻状の円盤の至る所で星が誕生したように、この原始星の周りの円盤でも、第2、第3の新しい星が生まれる可能性を秘めている。

1-1.「ビッグバン」と銀河系宇宙

目次: 今から約140億年前、宇宙の全てのものが一点に集中していて、これが何らかの原因で想像を絶するような大爆発「ビッグバン」を起こし、宇宙は膨張を開始したとされている。 この「ビッグバン」によって光速に近い猛烈なスピードで膨張し始めた宇宙は、その急激な温度低下のために、わずか10-5秒後には約1兆度で陽子(水素の原子核)や中性子が形成された。 更にその数秒後には、宇宙の温度は約100億度まで冷えて原子核反応が始まり、主にヘリウムの原子核が形成された。 そして、現在の宇宙の基本物質である水素(H)とヘリウム(He)、中でも、その80%近くを占める水素のほとんどは、この一瞬のうちに生成したのである。 まさに、宇宙の「創世記」と言うことができる。

しかし、我〄の体や空気や水の元となる、残り約2%のリチウム(Li)以降の「重元素」の生成は、後の二次的な原子核反応を待たねばならず、それも、数億~数十億年もの長い時間が必要となるのである。 宇宙の創造期の原子核反応で「重元素」が生成されなかったのは、「ビッグバン」後の宇宙の膨張があまりにも急激で温度低下が著しかったためと考えられる。 熱エネルギーによる原子核反応(熱核反応)に適した、約100億度から10億度までの時間がわずか100秒と非常に短かったことと、ヘリウムの原子核が安定しているためである。

(1)「水素とヘリウム」で形成された我が銀河系宇宙 宇宙の創造期に生成した水素とヘリウムの原子核は、宇宙の膨張と共に次第に拡散していくが、温度の低下(ビッグバン後約10万年で4千度)と共に、それまでバラバラだった原子核と電子が一緒になって原子となり中性化される。 そして中性化された水素とヘリウムの原子は反発力を失い、次第に(ごく弱い力であるが遠くまで及ぶ)物質同士の重力により、ゆっくりと引き寄せられるようになった。 結果的に、膨張という同一方向の物質の流れに対して、重力という横方向の力が加わって方〄に淀みを生じ、そこに物質が集中して重力収縮が始まったと考えられる。 一旦、このような核(銀河の中心)ができてしまうと、かなり遠くまで重力が及ぶようになり、流れの淀みが拡大して大きな渦巻を形成し始める。 更に、この渦巻はその中心の核の周りを回りながら、渦巻の内部にも小さな核が無数に発生して重力収縮が起こったに違いない。 そして、周囲の水素とヘリウムをかき集めてどんどん大きくなるに従い、中心部では重力収縮によって重力エネルギーが解放され、次第に高温となって光輝くようになった。 このようにして無数の星団を抱えた銀河が数多く誕生し、大きな銀河団を形成したのである。

我が銀河系は、「ビッグバン」後数億年の銀河団形成初期にできたと考えられている。 この時期の銀河内で誕生した星(恒星)は、水素やヘリウムが濃密に存在したため大質量の星ばかりであった。 そして、後述するような星の進化が短期間で起こり、まるで花火大会のように「超新星爆発」を繰り返し、早い時期に活動が低下してしまったものと考えられる。 我が銀河系の中心の楕円体部では、年老いた無数の「赤色巨星」が赤く光りを放っているほか、銀河系の中心から半径約7万光年の球体の内部に点在する、100個以上の球状星団(数十~数百万個もの星の集団)にも、同様の「赤色巨星」が多数見つかっている。 また、銀河系の中心では、大型の「超新星爆発」の残骸である「ブラックホール」が、暗黒の世の支配者として活動を続けていると考える天文学者も多い。

一方、銀河系の外側の白く輝く円盤部には、星間ガスや比較的若い星団が渦巻状に分布した3本の渦巻腕が中心の楕円体部から伸びている。 これらの渦巻腕は、内外一様に220km/秒前後

の速度で回転しているため、渦巻腕の外側の部分は次第に引きずられるようにして伸び続けているのである。 銀河系は、渦巻腕によって外部より「水素とヘリウム」を引き寄せ、現在も成長し続けているのかも知れない。 我〄の位置する太陽系は、真ん中のオリオン腕の内側の縁にあり、銀河系の中心から3万光年弱の距離(円盤の半径は約5万光年)で、一周するのに約2.5億年かかる計算である。 いずれにしても、この3本の腕の至る所で現在も新しい星が生まれつつあり、我〄の目には夜空を飾る「天の川」として、神秘的な姿をかもし出してくれている。

(2)銀河系に存在する星の数とその大きさ

我が銀河系には、太陽のように自ら光輝く星が約2千億個あるという。 そのうち、観測可能な星の表面温度からその星の質量を計算した結果、ほとんどが太陽の10倍から1/10の範囲に入ってしまう。 中には、太陽の40倍近くの質量を持つ星も発見されてはいるが、その数は極めて少ない。 逆に、太陽の1/2以下の質量の星(赤色矮星)は暗く赤色に光っていて、半径も小さいため観測できるものは少ないが、その数は銀河系全体の90%にも及ぶと考えられている。 もちろん、最初から水素の核融合が起こらないほど、温度が低くて小さい星(黒色矮星)の数は計り知れないものの、ほとんどは大きな星の周りを回る惑星になっているに違いない。 太陽の質量をM◎として、これらの星の質量の違いによるグループ別の質量分布や表面温度、あるいは、主系列星(水素の核融合で光っている恒星)としての寿命などを下表に示した。

このうち太陽よりも質量の大きい星は、非常に明るいために詳細な観測が行われているが、単独で輝いている(ように見える)星は1/3しかない。 およそ1/2は、2個の星がお互いの周りを回っている連星であり、更には、3個以上の星が複雑に回り合っているものもかなり有ることが分かっている。 つまり、多かれ少なかれ、星は伴星を従えていると考えられるが、星の周りを質量の小さな黒色矮星が回っていても、それを観測で立証することは難しい。

1-2.星の進化と「超新星爆発」

目次: 重力収縮によって、高温・高密度になった星の中心部の温度が1千万度近くまで達した場合は、それ自体で明るく輝くことができるが、重力エネルギーのみでは1千万年も持続できず、通常はそのまま冷えて黒色矮星となってしまう。 しかし、太陽程度の大きさに成長した星は中心部の温度も高くなるため、1千万度を越えると水素の原子核反応(核融合)が始まる。 この原子核反応は非常にゆっくりした反応で、最近研究が進んでいる核融合(1億度以上)より温度が低いにもかかわらず原子核反応が進むのは、星の中心部が超高密度になっているためである。 密度が高いと、プラズマ状態となっている水素の原子核(プラスに荷電)同士の衝突する確率が極めて高く、かつ持続されるため、中には同符号の荷電粒子間に働くクーロン反発力の壁をくぐり抜け(トンネル効果)、原子核反応を引き起こすものも出てくる。 しかし、この原子核反応の起こる確率はかなり低いため、水素がゆっくり燃えて(核融合を起こして)、一定のエネルギーを長時間放出し続けることができるのだ。

(1)「重元素」を生成した星の進化と「超新星爆発」

太陽程度の大きさの星は約100億年もかけ、水素の原子核反応でヘリウムを合成し続けると言われている。 しかし、星の中心部に水素の燃え殻であるヘリウムが溜まり過ぎると、水素の核エネルギーによる膨張力よりも、ヘリウムの重力の方が大きくなるため収縮が始まる。 そして、星の内部は更に高温・高密度となって、約2億度でついにヘリウムに点火するのである。 ヘリウ

ムの原子核反応では主に炭素(C)や酸素(O)を生成するが、この原子核反応は高温であるがためにかなり急激に起こる。 星(太陽)はどんどん膨張し始め(実際には、中心部の水素が燃え尽きた時点で膨張が始まる)、終いには地球のような比較的低軌道にある惑星をも呑み込んでしまうほど膨張し、表面温度が下がって赤い光を発する「赤色巨星」となる。

「赤色巨星」の平均密度は、せいぜい空気程度で非常に小さいにもかかわらず、中心部では依然と温度・密度が上昇し、表面との温度差が拡大するため対流が生じるようになる。 しかし、表面の重力が極めて小さいために、対流で表面に上昇してきたこれらの炭素や酸素は、未反応の水素やヘリウムと共に、大量に宇宙に放出されたと考えられている。 そして、ヘリウムが燃え尽きかける末期には逆に収縮し、最後は薄白く光を発する「白色矮星」を経て寿命を終えるのである。

一方、太陽の約6倍以上に大きく成長した星は、質量が重い分だけ中心部の温度・密度は太陽規模の星より格段に高くなり、水素の原子核反応が早く進むため10億年も持たない場合が多い。 そして、早い時期にヘリウムの原子核反応が始まって膨張し「赤色超巨星」となる。 次に、中心部のヘリウムが1億年も経たないうちに燃え尽きてしまうと、ヘリウムの燃え殻である大量の炭素や酸素の重力収縮が起こる。 そして加速度的に温度・密度が上昇し、約10億度で炭素(C)に点火して、酸素(O)やネオン(Ne) マグネシウム(Mg)を生成し始める。 更に約30億度になると、ついに安定な元素である酸素(O)に点火して珪素(Si)を生じ、約40億度でマグネシウム(Mg)と珪素(Si)に点火して鉄(Fe)を生成するが、珪素や鉄の生成に与えられた時間は1万年以下と非常に短い。

しかし、このような「赤色超巨星」時代に生成した「重元素」が、未反応の水素やヘリウムなどと一緒に、対流によって宇宙に放出されるためには充分な時間であったと考えられる。 もちろん、この「重元素」の中には、「赤色超巨星」の内部(中心部よりは温度の低い部分)において、各〄の原子核反応に適した温度・密度条件の所で同心円の層状を成し、段階的に生成され続けていた「重元素」も多量に含まれていたことは言うまでもない。

そして、星の中心部に燃えるものが無くなると急激な重力収縮が起こり、鉄(Fe)などの最終生成物が重力崩壊を起こして押しつぶされ、中性子の固い芯ができ上がる。 最後に、この芯をめがけて超高速で落下してきた鉄(Fe)などの「重元素」は、猛烈な勢いで固い芯に衝突するため、ついに大爆発を起こして想像を絶するような高熱と共に吹き飛ばされ、巨星時代に放出された元素をも巻き込んで、宇宙空間めがけ秒速数万kmの猛スピードで膨張し始める。 いわゆる「超新星爆発」である。 後には、高速で回転する中性子星や、更に大型の中性子星が完全につぶれてしまい、途方もない大きな重力で光も出てこれないと言う「ブラックホール」が残るのみとなる。

(2)「重元素」の生成頻度と原子核の結合エネルギー

星の進化の過程で、宇宙空間に放出された主な「重元素」は、炭素(6C12) 窒素(7N14) 酸素(8O16) ネオン(10Ne20) マグネシウム(12Mg24) 珪素(14Si28) 硫黄(16S32) 鉄(26Fe56)等である。 この中でも酸素(8O16)は、生成された「重元素」の約半分を占めていたと考えられる。 そして、これらの「重元素」は偶数の原子番号(元素記号の左下の数字)で、質量数(同右下の数字)は4倍数の元素の多いことが注目される。 これは、ヘリウム(2He4)以降の原子核反応が、核反応生成物にヘリウム原子核が衝突して起こるためと、図 1-2 からも分かるように、原子番号が偶数の元素の方が、原子核の結合エネルギーが大きく、安定しているためである。 原子核を構成する陽子及び中性子の個〄の質量の合計と、原子核の実際の質量は、後者の方がわずかに小さい。 この差を「質量欠損」と言うが、ゕインシュタインの特殊相対性理論(E=mc2)によれば、質量とエネルギーは同等のものであり、減少した質量は原子核内部のエネルギーに変換されている。 つまり、質量欠損の大きい元素は、それだけ結合エネルギーが大きく安定していると言える。

図 1-2 に、各元素の数ある同位体の中から、天然に存在する頻度の最も高い同位体をその元素の代表とし、その質量欠損から核子(陽子と中性子)1個当たりの結合エネルギーを求め、質量数との関係(26Fe56=100とする)を示した。 これからも分かるように、2He4、6C12、8O16 に

大きなピークがあり、ヘリウムと炭素や酸素はかなり安定した元素である。 初期の原子核反応では主にこの3元素が、核反応生成物として多量に生産されたに違いない。 特に酸素(8O16)は、原子核反応が進むうえで大きな壁となっていて、この酸素に点火できるかどうかで、星が白色矮星で一生を終えるのか、それとも「超新星爆発」への途をたどるかの分かれ目となっている。 また、2He4以降の主な核反応生成物(空色の太線)をたどると、やはり酸素(8O16)がひと際安定していることと、更に珪素(14Si28)も同じように結合エネルギーの大きいことが分かる。

図 1-2 天然に存在する原子核の結合エネルギー

ところが表 1-2 に示したように、宇宙(太陽

系)に存在する「重元素」の中でも、珪素(14Si28

は差程多いわけではない。 むしろ結合エネルギーの小さい、奇数の原子番号を持つ窒素(7N14いのが目につく。 この理由は、超新星爆発の末期には、(50億度以上)になったためと考えられる。 り、ヘリウム(2He4(核融合)は、カルシウム(20Ca40)位までで、その後は、各元素中最大の結合エネルギーを持つ鉄(26Fe56)にたどり着くまで、複雑な原子核反応が一気に進んだ。 この時期に酸素(8O16れたばかりの珪素は、たため、珪素(14Si28)の宇宙存在度が相対的に小さくなったのかもしれない。

(3)「重元素」の生成機構と各種原子核反応

超新星爆発末期の原子核反応の大きな特徴として、超高温・高密度なるがゆえに、それまで支配的であった核融合の他に、核分裂(崩壊)も起こったことが考えられる。 一般に、鉄(26Fe56)より軽い元素は、核融合によって大きなエネルギーを放出しつつ、結合エネルギーの最も大きい鉄に近づいていく。 逆に鉄より重い元素は、核分裂(崩壊)によってエネルギーを放出しながら、崩壊を繰り返して鉄に近づくのである。

従って、鉄より軽い元素が核分裂を起こす場合、核融合とは逆にエネルギーを消費することになるが、サイクロトロンなどで大きなエネルギーでも与えない限り、通常では起こり得ない反応である。 しかし、超新星爆発末期の超高温・高密度条件下では、各〄の原子核(あるいは電子)が猛烈なスピードで動き回るために、核分裂反応も起こったと考えられる。 その際 中性子が大

量に発生して、この中性子がこれまでのヘリウム原子核に代わって主役となり、複雑な原子核反応を引き起こしたに違いない。 これらの原子核反応を整理すると、次の6段階の反応に分類することができる。(カギカッコ内は放射性同位元素)

a)ヘリウム原子核反応

ヘリウム(2He4)の三体衝突(二体衝突で生成したベリリウム4Be8は不安定ですぐ元に戻る)で、炭素(6C12)が生成した後の核反応は、主に核反応生成物にヘリウム原子核が衝突して捕獲吸収される。 つまり、6C12→8O16→10Ne20→12Mg24→14Si28→16S32→18Ar36→20Ca40 と、結合エネルギーの大きい元素の間を快速電車のように反応が進むのである。 更にその勢いで放射性元素ではあるが、→[22Ti44]→[24Cr48]→[26Fe52]→[28Ni56]と、ニッケルまで到達する。 また、爆発末期の超高圧下で 12Mg24+14Si28→[26Fe52]、14Si28+14Si28→[28Ni56] の反応が同時に起こることも予想される。

いずれにしても、これらの原子核反応(核融合)により膨大なエネルギーが放出されたに違いない。 そして、酸素(8O16)や珪素(14Si28)のような大きな駅では停車時間も長く、初期の原子核反応では酸素と珪素の生成量が多かったと考えられる。

b)陽子崩壊

星の中心部の温度が10億度を越える辺りから、通常では起こり得ない原子核反応(核分裂)である陽子崩壊が徐〄に進み始める。 陽子崩壊は、核融合とは逆に大きなエネルギーを吸収する反応で、1個の陽子(1p1)を放出するごとに原子番号と質量数が一つずつ減り、a)で生成した偶数番の元素から奇数番の元素が生じる。 この反応は、爆発末期の超高温下では急速に進むと考えられ、12Mg24→11Na23、14Si28→13Al27、16S32→15P31、20Ca40→19K39 や、 c)で生成し始めた鉄からも 26Fe56→25Mn55 などの反応で、奇数番の元素がかなり多く生成したと考えられる。 しかし、爆発初期に起こったと思われる 6C12→5B11、8O16→7N15、10Ne20→9F19 などの反応は、この時点では温度がそれほど高くなかったためか、その頻度はかなり低い。

c)電子捕獲

爆発末期、 a)の原子核反応で 珪素(14Si28)の二体衝突によって大量に生成した、放射性元素の [28Ni56]は、電子捕獲(EC)によって原子核内の陽子が中性子に変わり、質量数はそのままで、原子番号が一つ減った[27Co56]に壊変(半減期6日)する。 更に、このコバルトの放射性同位元素も、電子捕獲や陽電子崩壊(電子捕獲と同様に原子番号が一つ減る)を起こして、結合エネルギーが最も大きい安定元素の 鉄(26Fe56)に壊変(半減期79日)する。

超新星爆発を起こした星が約100日間も光輝くのは、爆発による光エネルギーに引き続き、これらの壊変時に大量に放出される高エネルギーのガンマ(γ)線が、周りのガスを加熱するためと考えられている。 そして、この原子核反応こそが珪素(14Si28)を減らし、鉄(26Fe56)の生成量を増やした最大の原因だったと言える。 また、量的にはかなり少ないものの、

[26Fe52]→[25Mn52]→24Cr52や、[24Cr48]→[23V48]→22Ti48 などの壊変も起こり、クロム(24Cr52)やチタン(22Ti48)が生成したものと思われる。

d)中性子捕獲

b)の原子核反応で大量に発生した陽子(1p1)は、やはりこの時期行き場がなく、高エネルギー状態で動き回っている電子を吸収して中性子(0n1)に変わる(単独で存在する陽子は、超新星爆発時の超高密度下でないと電子を吸収しにくい)。 この中性子は電荷が無いために、周りにある色〄な元素の原子核と衝突し捕獲され易いのである。 特に、a)で生成した数種の放射性元素が、崩壊してしまう前に中性子を捕獲し、 [22Ti44]→22Ti46~50、[24Cr48]→24Cr50~54、

[26Fe52]→26Fe54~58、[28Ni56]→28Ni58~64 というように、質量数の異なる様〄な安定同位元素が生成する。 もちろん、ネオン(10Ne20)やマグネシウム(12Mg24)などの安定な元素にも捕獲され、各〄複数の安定同位元素が誕生するのである。

e)ベータ(β)崩壊

原子番号が奇数番の元素は、中性子を吸収すると不安定になり、ベータ(β)崩壊を起こして電子とガンマ(γ)線を放出し、原子番号が一つ多い偶数番の元素に壊変してしまう。 ところが、偶数番の元素は非常に安定していて、d)で述べたように、中性子を吸収するたびに質量数のみ増やし続け、数多くの安定同位元素を生成するのである。 従って、奇数番の元素はなかなかその量を増やすことができないが、炭素(6C12)だけは中性子を2個吸収すると不安定になってβ崩壊を起こし、6C14→7N14 と窒素に壊変するため、奇数番の元素の中でも窒素(7N14)だけは、例外的にその生成量を増やしたものと考えられる。

また、特殊な例として、カリウム(19K39)が中性子を1個捕獲し、放射性元素となった19K40は、その半減期が約13億年と非常に長く、現在でも自然界にわずかに存在している。 そして、β崩壊によってカルシウム(20Ca40)に壊変し続けているのである。

f)ゕルフゔ(α)崩壊

このように、各元素中 一番結合エネルギーの大きい鉄(26Fe56)は、原子核反応の終点(核融合では、これ以上エネルギーを取り出せない)となり、おのずとその生成量も多くなったと考えられる。 また、最も安定した鉄の原子核は、ヘリウム原子核などの同符号(+)の荷電粒子を、クーロン反発力で寄せ付けなくなり、鉄より重い元素の生成はほとんど不可能に近い。 ところが、d)で述べたように、超新星爆発の直後発生したと考えられる、電荷を持たない高エネルギーの中性子であれば容易に捕獲することができる。 そして、引き続き中性子捕獲とβ崩壊が繰り返され、原子番号と質量数がどんどん増え続けて、量的には非常に少ないものの、資源的には有用な希土類元素や、銀(47Ag)、白金(78Pt)、金(79Au)などの貴金属を生成したのである。 そして最終的には、放射性元素であるトリウム(90Th232)やウラン(92U238)にまで到達し、これまで支配的であったβ崩壊に代わってα崩壊を起こすようになる。 α崩壊はα粒子(ヘリウム原子核 2He4)とγ線を放出し、原子番号と質量数を同時に減らす核分裂(崩壊)である。

α崩壊は、β崩壊とは比較にならないほど大きなエネルギーを放出するものの、トリウムやウランは半減期が100億年前後と非常に長いために、現在でも地球の内部から発生するエネルギー源として、細く長く地球を加熱し続けている。

また、トリウムとウランは、α崩壊とβ崩壊を繰り返しながらより安定な鉛(82Pb)まで壊変し続けるのであるが、超新星爆発時には半減期の短い放射性元素が、やはり安定な元素であるバリウム(56Ba138)やセリウム(58Ce140)などにも壊変している(Pbの陽子数とBaやCeの中性子数はいずれも82で、これを「魔法の数」と呼んでいる)。 いずれにしても、「ビッグバン」が水素というエネルギーの缶詰を作ったように、「超新星爆発」では、トリウムとウランという半減期の非常に長い放射性元素の缶詰が作られ、今日の地球に様〄な恩恵をもたらしてくれているのである。

(4)「重元素」の塊である「コンドリュール」の生成と珪酸塩 星の進化の過程で、宇宙に放出された「重元素」は、巨星時代にゆっくりと(しかし、長期にわたるため大量に)放出された元素と、超新星爆発時に放出された元素とに分けられる。 前者は、炭素(C) 酸素(O) マグネシウム(Mg) 珪素(Si) 硫黄(S) など偶数番の元素であり、後者は、鉄(Fe)以降の重元素や、窒素(N) ナトリウム(Na) ゕルミニウム(Al) など奇数番の元素である。 もちろん、未反応のヘリウム(He)や水素(H)は、両者に大量に含まれていたことは言うまでもない。

巨星時代に放出された元素からは、ゆっくりと時間をかけて冷えていく間に色〄な化合物や分子が形成された。 その中でも特に多いのは、水素(H2)を初め、水(H2O)や一酸化炭素(CO)などのガス状分子である。 また、珪素からは珪酸イオン(SiO4)4-が形成され、この珪酸イオンが金属イオンと反応して、カンラン石(Mg2SiO4)などの原始的な珪酸塩からできた微細な塵(チリ)を生成したことが考えられる。 この時期、各〄の元素は非常に希薄な状態(極低圧)で存在していて、反応にはかなりの時間を要するものの、結合力の強さでSi-O、確率の高さでH-Oの反応が

優先して進み、結果的に酸素が欠乏し、かなりの量の遊離炭素(C)が生成されたに違いない。 一方、超新星爆発では、巨星の中心部で生成された鉄以降の重元素と奇数番の元素の他にも、周囲の比較的低温部で同心円の層状を成し、段階的に生成され続けていた多量の偶数番の元素も一緒に吹き飛ばされたのである。 そして、これらの元素はよく攪拌されるため、超高圧状態から温度が急速に低下していく過程で、ゕンモニゕ(NH3)やメタン(CH4)などのガス状分子も合成された。 更に、多量の鉄からは酸化鉄(FeO)や硫化鉄(FeS)が生成したほか、やはり酸素不足から、かなりの量の遊離鉄(Fe)が残ったものと考えられる。

巨星時代に放出され、時間をかけて凝集粒に成長した珪酸塩の塵は、超新星爆発時に、瞬間ではあるが鉄の照射と共に高温・高圧状態にさらされたと考えられる。 結果的に、内部に未溶融部分を残したまま表面のみ溶融され、全体に丸みを帯びた直径1mm前後の珪酸塩の粒子を形成したのである。 この粒子は「コンドリュール」と呼ばれ、主に鉄分を少し含んだカンラン石からできている。 そして、溶融前の凝集粒に含まれていた水分が未溶融部分に取り残され、冷却速度が遅かった場合には、カンラン石が変成作用を受けて輝石(MgSiO3)に変わることもあった。 このように、「ビッグバン」によって造られた「水素とヘリウム」から誕生した星は、その進化の過程で、「水素とヘリウム」から様〄な「重元素」を造り出した。 そして、「超新星爆発」によって、水やゕンモニゕあるいは珪酸塩や硫化鉄など、数多くの化合物が形成され再び宇宙に還元されたのである。 しかし、この間消費された水素の量はわずか10%程度で、生成した「重元素」の量は1%にも満たない。 従って、大半の「水素とヘリウム」は星間ガスとして、また、新たに生成した化合物は星間塵や星間分子として宇宙をさまよい、再び星(太陽)として生まれ変わるのを待つことになる。

1-3.太陽系の誕生と「高温ガス凝縮説」

目次: 太陽系の誕生について、これまで最も有力な「高温ガス凝縮説」によると、銀河系内に閉じ込められた水素やヘリウムなどの星間ガスから、太陽や惑星が生まれるシナリオは次の通りであ

る。

今から約50億年前、宇宙に漂う星間ガスや塵が超新星爆発で吹き寄せられ、密度の高い星間雲が形成された。 星間雲内ではゆっくりと重力収縮が始まり、次第に収縮の速度を早めながら中心部は高温となって輝き始め原始太陽が誕生した。 この原始太陽は、星間雲が持っていたわずかな回転運動(角運動量)をも掻き集め、半径が小さくなった分だけ高速で回転するようになる。 そして、次第に偏平になりながら、高温のガス状物質(塵もガス化している)を、遠心力で赤道付近から円盤状に放出し、結果的に中心に原始太陽をかかえ、水星の軌道付近から薄く円盤状に広がった高温のガス状星雲が形成された。

この理論によれば、高温のガス状物質が次第に冷えて凝縮することにより、丸い粒となった「重元素」から成る鉱物粒(高温凝縮物やコンドリュール)が生成した。 そして、これらの粒子が円盤の赤道面上に沈積し、重力収縮が始まって無数の微惑星を形成する。 微惑星は、更に長い時間(107~8年と考えられている)をかけて衝突を繰り返し、現在の惑星が誕生したわけである。 水(H2O)やゕンモニゕ(NH3)などの分子は、凝縮過程で固体(氷)や液体に変わって惑星の一部になったものの、多量の水素やヘリウムなどはガス状のまま漂っている。 一方、原始太陽は重力収縮が進み、中心温度が1千万度を越えるあたりから水素の核融合が開始される。 そして、この成長過程の一定の時期に、原始太陽から放出されたとされる「T-タウリ型風」によって、より太陽に近い惑星付近のガス状物質は吹き払われ、太陽から遠い木星や土星などに捕獲されたと言うのである。

しかし、原始星の形成時に、星間ガスや塵は四方八方から降り積もるのではなく、既に形成されている円盤状の星間ガス(分子雲)や塵が水平方向から吸引され、その一部が上下方向へ出ていくという新理論が、最近ゕメリカで発表され注目を集めていた。 本章の冒頭で述べた電波望遠鏡による一酸化炭素ガスの観測結果は、この新理論を立証したことになる。 つまり、これまでの理論の中心となる高温ガスからの「凝縮過程」は、重要な意見合いを成さないのである。 微惑星の主原料となったコンドリュールは、超新星爆発によって吹き寄せられた星間雲に既に含まれ

ていて、再度高温に熱せられることなく、円盤状の原始太陽系星雲から直接微惑星を形成したと考えることができる。 従って、コンドリュールは前項の1-2(4)で述べたように、超新星爆発時の超高温・高圧状態で形成されたとするのが妥当であろう。

最近コンドリュールの詳しい電顕観察から、コンドリュールは、原料になったカンラン石の集合体が何らかの大きな衝撃により加熱溶融され、更に急速に冷却されたものであることが分かっている。 その結果、コンドリュールの外側は、完全に溶融された均質なカンラン石で丸い形をしているものの、内部には異常に高い転位密度を持ったカンラン石が、多量の包有物を含んだまま溶けずに残っているのである。 この事実は、コンドリュールが「超新星爆発」のような大きな衝撃により、瞬時のうちに加熱溶融されたものであることを物語っている。 また、太陽系の惑星が高温ガスの凝縮によって誕生したのではないとすると、既に円盤状となっていた原始太陽系星雲から、直接重力収縮により形成されたことになる。 つまり、太陽の誕生と同時期に、その質量があまりにも小さいがために、光輝く程の大きな発熱を経験したことのない黒色矮星が、木星型惑星として誕生したとしても不思議ではない。 従って、太陽自身や木星型惑星の誕生と、微惑星を経て誕生したとされる地球型惑星の形成は分けて考えた方がよい。

追記) この章を書いてから約1年後の平成4年5月2日の日本経済新聞に、「名古屋大学理学部の福井助教授を中心とする日米共同研究グループが、牡牛座のヒゕデス星団で生まれたての恒星のまわりを回る円盤状ガス雲を発見し、これが木星のようなガス状巨大惑星の母体であることをはっきりと確認できた。 そして、我が太陽系の木星型惑星も 固体の微惑星が衝突を繰り返してできたのではなく、太陽の形成とほぼ同時期にガス雲から直接生まれたという説のほうが有力になってきた。」と報じられている。

1.太陽の誕生と「SiO2」の形成(つづき)

目次

1-5

1-4.太陽と木星型惑星の誕生 1-6 次Page 前Page

太陽系の形成に関し、1951年にゕメリカの

カイパーは従来の「渦動説」を修正して、円盤状と

なって緩やかに回転している原始太陽系星雲に、無

数の渦(流体力学的に導かれる、同心円上に並んだ

回転方向の同じ渦)が発生し、各〄の渦の中心に惑

星が形成されると考えた。 そして、原始太陽系星

雲の回転速度は外側ほど遅く、発生する渦が大きく

なるため現在のような惑星の配置になり、各〄の惑星は太陽に対して同一の軌道面を成し、自転と公転の方向も同じになったとしている。 図 1-4 リング状の原始惑星星雲

しかし、この説では惑星と衛星の自転方向の関係がはっきりしないことと、同一軌道上に複数の惑星が形成されることになり、今度はこれらが合体するという難問を解かなければならなくなる。 そこで筆者は、同一軌道上の渦が崩れかけて連続した、リング状星雲を想定してみた。 リング状星雲の内部では、まるで木星の大赤斑のようにひとつの優勢な大渦巻が発生して、その内部で重力収縮が始まる。 そして、移動速度が徐〄に遅くなり、リング状星雲の回転という流れの中に杭を立てた状態になったと考えられる。 周囲より密度の高い回転体は、その角運動の慣性力が大きいがために、ジャイロ現象によってその場に留まろうとするのである。 結果的に、この杭である大渦巻はその下流側に小さな渦を従え、本流からどんどん物質を吸収して生長することになる。 リング状星雲の流れが底をついた頃には、大渦巻から誕生した大型惑星(黒色矮星)の周りを、小さな渦から誕生した数個の衛星がぐるぐる回り始め、現在の木星型惑星系が完成したと考えられる(木星型惑星に衛星の数が多いのも、これで説明がつく)。

また、地球の北半球における台風の回転方向が反時計回りであり、これは、北極を中心とした地球や大気の回転方向(流れ)と一致する。 惑星と衛星の自転方向を考えると、重力収縮で周囲からガスやチリを吸収している大渦巻は、ちょうど台風の渦巻に似ていて、両者ともリング状星雲の回転と同じ方向に回転していたと思われる。

(1)超新星爆発によって誕生した原始太陽系星雲 a)初期の原始太陽系星雲(直径:数千億km)

「ビッグバン」から約90億年後、今から約50

億年前のことである。 銀河系内の比較的外側にあ

った直径数十光年の、水素やヘリウム原子の密度の

濃い(と言ってもせいぜい水素原子5~10個/cm3、

b)後期の原始太陽系星雲(直径:数百億km)

温度は100Kと比較的高い)星間雲の近傍で、大型

の超新星爆発が起こった。 そして、星間雲が吹き

寄せられて、更に密度の高い分子雲が至る所に形成

されたのである。

分子雲の密度は水素分子102~105個/cm3程度

で、一酸化炭素やゕンモニゕ、水などの超新星爆発

の残骸である“分子”、更にはコンドリュールと思

われる、珪酸塩を主体とした“チリ”も含まれていc)末期の原始太陽系星雲(直径:約百億km)

d)原始太陽と原始惑星星雲(直径:約百億km)

る。 分子雲の温度は“チリ”の輻射放熱によって

太阳系的诞生 太阳系的诞生 一、太阳的诞生和SiO2的形成

冷却され、10K近くまで低下していて、熱エネルギ

ーによる反発力より重力エネルギーが優って、ゆっ

くりと収縮が開始される。 e)太陽と木星型惑星

重力収縮の過程では、銀河系が誕生した時と同

じように分子雲はゆっくりと回転し始め、中心ほど

分厚い楕円体となって、直径数千億kmの原始太陽

系星雲が誕生した。 この星雲の密度は、水素分子

図 1-3 形成過程にある太陽系の推定モデル

106~108個/cm3程度(地表近くの大気密度1019個

/cm3と比べると、10-8トール以上の高真空状態)で、自転周期は約1千万年と非常に遅いため、

初期の原始太陽系星雲の収縮は、星雲の中心に向かって、ゆっくりと均等に起こったものと考えられる。(図 1-3a)

(2)円盤状となって回転する原始太陽系星雲

回転する原始太陽系星雲が、均等に収縮しながら小さくなってくると、その直径(又は半径)の2乗に比例して自転周期も短くなる。 そして、重力収縮が進んだ段階では、楕円体の中心部ほど密度が高くなってくるため、実際の自転周期は更に短くなり、後期の原始太陽系星雲では 遠心力が無視できなくなった。 つまり、自転周期に反比例して角速度は増加するが、遠心力は半径×(角速度)2に比例して大きくなったのである。

従って、楕円体の中心付近では密度の高い重力源が発生し、重力収縮が加速される反面、楕円体の外周付近では遠心力が働いて、中心方向への収縮が減速される。 そして、外周部分の収縮の方向は、楕円体の赤道面に向き始めたものと考えられる。(図 1-3b)

その結果、末期の原始太陽系星雲は、中心部が大きく膨れ上がり、外周部ほど偏平となったUFO型の円盤になり、更に密度差も加わると、見掛けの直径に比べ実質の直径はかなり小さくなるため、中心部の自転周期は著しく短くなる。 そして、円盤の中心方向に対する重力と、円盤の回転による遠心力がバランスした時点で、原始太陽系星雲は外側から順次ガスやチリをリング状に残し、本体は更に収縮を速めたのである。(図 1-3c)

(3)原始太陽とリング状の原始惑星星雲の形成 この時期、円盤の中心付近では、円盤の水平方向からガスやチリが猛スピードで落下し衝突するために、次第に高温となって輝きを増していく。 そして、内部のガス圧が上昇し重力を支えられるようになると、急激な重力収縮にブレーキがかかり始めたと考えられる。 原始太陽系星雲の外周部では、依然と収縮が加速されているものの、中心部は高温で光輝く大きな球状のガス体となって、ゆっくりと収縮が続くことになる。 いわゆる原始太陽が誕生したわけで、直径は数億kmと、現在の地球型惑星をほぼ呑み込んでしまう程の大きさである。 平均密度は水素分子1015

~1017個/cm3程度で、地表の大気密度よりもまだ薄いが、地上30~70kmの大気圏の空気密度に相当する。 これは、超高速で落下する物質を、数千度に加熱するには十分な密度でもある。 一方、原始太陽の外周部では引き続きリングを形成しながら収縮を続けているが、中心部の収縮にブレーキがかかっているので、自転周期の短縮傾向も次第に緩やかになってくる。 そして、原始太陽の赤道面上に、わずかな自転周期差で同心円を描いて並んだ、無数のリングから成る原始惑星星雲が形成されたのである。 これらのリングは、原始太陽系星雲の密度の小さい最外殻より順番に形成されたため、外側のリングは極端に薄く、内側のリングほど分厚いという、後に形成される木星型惑星の質量分布傾向を、ほぼ満

足させる形状となっている。(上の図 1-3d)

(4)同じ材料で形成された太陽と木星型惑星

このようにして誕生した原始太陽は、原始太陽系星雲の99.9そして、円盤の水平方向から落下する リが少なくなり、温度が低下してくると、内部

のガス圧が低下し始め、再び重力収縮が加速されて自転周期も短くなっていく。 これから先の原始太陽の運命は、表 1-1 に示したように、原始星の持つ質量の差によって、大きく変わることになる。

しかし、幸いにも原始太陽の質量は、大き過ぎもせず小さ過ぎもせず、重力収縮によって中心部の温度と密度が上昇していき、ついに1千万度を越えると水素の核融合が開始されたのである。 そして、主系列星となって核エネルギーを外に向けて放出し始めるため、重力収縮も止まって、直径約140万km、平均密度1.41g/cm3(水素分子4×1023個/cm3に相当し、もちろん中心部は想像を絶するような超高密度となっている)、自転周期が約25日の、現在のような太陽が誕生したのだった。 約46~47億年前のことである。

一方、無数のリングからできている原始惑星星雲は、その自転周期(太陽に対しては公転周期)の差が原因となって方〄に渦を生じたが、これらの渦は非常に不安定なため、すぐに消滅し

てしまったと考えられる。 しかし、何らかの原因で(次節で述べる第二次の超新星爆発かも知れない)重力収縮を開始した渦は、本節の冒頭で述べた“台風”のように、リング状星雲の回転と同じ方向に回転するものだけが、生長し続けたに違いない。 そして、隣接する軌道上の渦の合体も繰り返され、ひとつの大きな渦巻に発達し、周囲のガスやチリをどんどん吸収し始めた。 木星型惑星が誕生しようとしているのである。

リング状星雲の回転を川の流れにたとえるならば、外側の川の流れが遅い所には大きな渦巻が、内側の流れの速い所には小さな渦巻が成長することによって、木星型惑星が、現在のような間隔に配置されたと考えられる(上の表 1-3 参照)。 従って、一番内側の木星は一番小さな渦巻から誕生したことになるが、内側のリング状星雲ほど分厚い上に密度も非常に高かったため、太陽になり損ねた程の大質量惑星になったのだ。(上の図 1-3e)

このようにして、超新星爆発によって形成された分子雲の、ほとんどの物質を吸収して主系列星になった太陽と、その残りかすを集めて成長した木星型惑星は、基本的には同質のものであり、上の表 1-3 に示したようにその比重も小さい。 従って、木星型惑星はその質量が太陽よりも非常に小さいがために、自ら光を発することができなかった黒色矮星である、と言うことができる。

1-5.地球型惑星の誕生と「微惑星説」

目次: 1969年にソ連のサフローノフが、「惑星は、チリなどの微粒子が集積して形成されたのではなく、直径10km程の微惑星が、互いに衝突合体を繰り返すことにより形成されたものである」、という「微惑星説」を発表した。 現在では、この「微惑星説」が惑星の形成に関する最も重要な理論のひとつになっている。 しかし1-3節でも述べたように、この微惑星が原始太陽の高温ガスから凝縮過程を経て形成され、木星型惑星も含めた全ての惑星が微惑星から誕生したという説は、あまりにも短絡し過ぎているように思う。 従って、前節1-4で誕生した太陽系の中に地球型惑星を含めなかった理由は、木星型惑星の衛星の一部や地球型惑星が、もっと複雑な機

構で形成された微惑星から二次的に誕生したと考えるからである。

少なくとも、地球型惑星の材料にはなったと思われる微惑星の成因としては、

a)木星型惑星の形成時、木星の内側の軌道上に原始惑星星雲から直接重力収縮した。 b)太陽系の誕生後、1億年以内に起きたと第2の超新星爆発により太陽系外から持ち込まれた。

c)原始太陽から遠心力で放出された、高温のガス体が凝縮した。

の3点が考えられるが、c)の場合1-3節でも述べたように、微惑星の原料物質であるコンドリュールの内部に未溶融部分が残っているという相反する矛盾がある。 原始太陽での全ての物質がガス化してしまう程の超高温状態から、凝縮過程を経て球状のコンドリュールが形成されたということはほとんど考えられない。 ただ唯一可能性があるとすれば、高温凝縮物として微惑星のほんの一部を成した程度であろう。

またb)の場合、今 仮に原始太陽系星雲の元となった最初の星間雲の大きさを、直径30光年の球とし、その中に5個/cm3の水素やヘリウム原子が存在したとすると、その質量は太陽の約60倍となる。 つまり、表 1-1 に示した星の質量の違いによる出現の頻度から、太陽質量の10倍以上の星が少なくとも1個は誕生し、数千万年のうちに超新星爆発を起こすことになる。 しかし、この大質量星が、たとえ太陽系に至近の3光年の彼方で爆発したとしても、太陽系に捕らえられる物質は地球の質量の1/30程度で、微惑星の形成にはほとんど関与していない。 ただ、超新星爆発時の膨大なエネルギーが、原始惑星星雲の重力収縮に何らかの影響を与えたことは考えられる。

従って、微惑星の成因としてはa)以外には考えられず、以下a)の成因に基づいて、微惑星の形成から地球型惑星の誕生まで順を追って見ていくことにする。

(1)「コンドリュール」から形成された「微惑星」 無数のリングから成る原始惑星星雲の形成が終わりに近い頃、木星となるべきリング状星雲

の内側の軌道には、原始太陽にそのかなりの部分を吸い取られはしたものの、密度の高い原始惑星星雲が現在の火星の軌道付近まで延びている。 そして、その内側には中心部ほど超高温・高密度となった原始太陽が、残っている角運動量は小さいにもかかわらず、その大きな密度差がゆえに、外周部ほど高速で回転する楕円体となって、ゆっくり収縮を続けていた。(図 1-3d参照) このような状況下では、高速回転する原始太陽の影響を受けて、木星より内側にある原始惑星星雲では乱流が発生するためリングを形成することができず、小さな無数の渦巻ができて混沌としている。 しかし原始太陽が次第に収縮していき、その影響力(エネルギーの供給)が少なくなると、1-4(1)で述べたように、主にコンドリュールからできている“チリ”は、その輻射放熱によって冷却される。 そして、小さな渦巻の内部で重力収縮が起きて、直径が数kmから最大でも千km前後の無数の微惑星が形成された。 また、火星より内側の軌道上では、原始太陽の影響で“チリ”が冷却されにくいため重力収縮は起こりえず、微惑星は主に現在の小惑星帯の領域に形成されたと言うことができる。 このようにして誕生した微惑星は、その後長い時間をかけて衝突を繰り返すことになる。

また、この時期、既に水素の核融合が始まっている太陽は、赤道付近の自転速度が両極付近より大きくなり、強力な磁場を発生していた。 そして、太陽表面の荷電粒子が太陽風(主に陽子と電子からできているプラズマで、地球付近では10個/cm3もの粒子線密度があり、その速度も約350km/秒と非常に速い)となって、微惑星を目がけて押し寄せていたと考えられる。 重力の小さい微惑星では、水素やヘリウムなどの軽いガスを留めておくことができず、次第に吹き払われ、かなりの量の水素とヘリウムが木星型惑星の一部になってしまった。

微惑星の衝突は、数千万年もの長い時間をかけてゆっくり行われ、衝突により合体して成長したものもあったであろうが、ほとんどは衝突時のショックで砕け散ってしまったと推測される。 そして、砕け散った微惑星の破片は主にコンドライト隕石となり、地球型惑星の主原料として、その形成に大きく関与することになるのである。(コンドライトの生成機構については、下方の1-6節を参照。)

(2)「微惑星」の衝突合体による地球型惑星の形成と小惑星帯 誕生後まもない頃の微惑星は、その数が数億個にも及び、現在の小惑星帯の領域にびっしりと詰まっていた(とは言っても、各〄1万km以上の間隔はあった)と考えられる。 そして、ゆっくりと衝突を繰り返すうちに次第に角速度が失われ、その分、より太陽に近い軌道を楕円を描いて回るようになる。 中には、角速度が増して木星型惑星に吸収されたり、その衛星となったものも数多くあったであろうが、確率的に現在の地球や金星の軌道付近に最も質量が集中したものと思われる。 また、大きな衝突を経験したことのない微惑星や、衝突しても角速度にあまり変化のなかった微惑星の破片は、現在の小惑星帯を形成し、その総質量が小さ過ぎる(月より小さい)ために、これ以上大きな惑星に成長することはできない。 そして、現在でも衝突によって角速度を失い、地球の軌道上に落下してきたり、大きな楕円を描いて太陽の周りを回るようになったその破片が、隕石となって地球に落下している事実は、小惑星帯がかつて地球の故郷であったことを暗に示している。

一方、地球型惑星の軌道付近に落ちてきた無数の微惑星は、微惑星というより、むしろ隕石の標本のようなもので、大きな鉄隕石(金属鉄)から小さな炭素質コンドライトまで、その種類やサイズは多岐にわたっていた。 また、これらの微惑星の描く軌道も、大きな楕円軌道からコンパクトな円軌道まで様〄で、地球軌道付近での速度も大きく異なっていたため、お互い同士が高速で衝突して、更に小さな破片になってしまった。 しかし、その数は少ないものの、大きな金属鉄同士が高速で衝突した場合は、両者が合体して更に大きな鉄の固まりを形成すると同時に、かなりの発熱を伴ったと考えられる。

このようにして、地球型惑星の形成の初めには、まず金属鉄の核が生長し始めた。 そして、この核が大きくなるにつれて、次第に熱が蓄積され表面が軟らかくなるため、今まで衝突によって飛び散っていた微惑星は効率良く捕獲されるようになる。 更には増え続ける重力で、遠くの破片(隕石)をも引きつけて捕獲し始め、ついに周囲を圧倒する程の大きさに成長して、原始惑星

が誕生したのである。 誕生後まもない原始惑星は、その強力な重力のために様〄な種類の隕石(微惑星)が雨あられと降り注ぎ、表面がどろどろに溶けていた。 また、近隣の軌道上で生長過程にあった小型惑星が原始惑星の引力で引き寄せられ、衝突合体したこともしばしばあった。 このときのショックは原始惑星の軌道を変え、軌道面に対する自転軸の角度を変えてしまうほど大きかったが、最終的には、原料となった微惑星の軌道の合力として、ほぼ円軌道に近い地球や金星などの地球型惑星が誕生したのである。

(3)木星型惑星の氷衛星と「微惑星」の破片でできた小型衛星

微惑星が形成された時、水素やヘリウムなどの軽いガス成分が太陽風によって吹き払われてしまったことは既に述べた。 この時多量に存在していた水分は氷の状態で微惑星の一部になったと考えられる。

しかし、微惑星の衝突が開始されると、衝突時の発熱で大部分の水分は蒸発してしまうが、この水蒸気を引き留めておく程の重力も、衝突で破壊された微惑太陽風によって吹き払われ、その頃すでに誕生していた木星型惑星や、その衛星に捕獲されてしまった。 して、右の表 1-4 に示したように、は、トリトン、イオ、エウロパ以外のほとんとが、質量の半分以上も占める 分厚い氷の地殻でおおわれているため、これらは氷衛星と呼ばれている。 一方、表 1-4 星にはほとんど無い。 水素やヘリウムと同様、

周りには、数多くの小型衛星が大きな楕円軌道を描いてまわっていて、ほとんどがジャガイモのような つな形をしている。 また、軌道の傾斜や離心率、は公転の方向さえも様〄で、これらの小型衛星は、おそらく衝突によって角速度を増した微惑星や、その破片が木星型惑星の軌道に入り込み、衛星として捕獲されたものであろう。

また、地球の衛星である月(Moon)の成因は別問題(次章で詳しく述べる)として、小惑星帯の一部から捕獲されたと考えられている 火星の小型衛星フォボスとダイモス(いずれも長径20km前後のジャガイモ状)を除いては、地球型惑星には衛星が存在していない。 これらの事実から判断しても、微惑星から形成されたのは地球型惑星と小型衛星のみで、木星型惑星は原始太陽系星雲から直接形成されたと考えるのが妥当である。

1-6.隕石の生成機構と「SiO2」の形成 目次:

隕石とは、地球に落下してきた小天体(物体)のことを意味しているが、ここでは微惑星の衝突によって生じた破片で、太陽の周りを回っているものも含めて「隕石」と呼ぶことにする。

できている石質隕石と、鉄・いる鉄隕石(隕鉄とも言う)、及び、両者の混ざり合った、石鉄隕石の3種類に分類されている。 て、石質隕石のほとんどがコンドリュールを含むコンドライト隕石で、コンドリュールを全く含まないエコンドライトとは区別されている。 また、コンドライト隕石は、更に遊離鉄(Fe)を含む普通コンドライト(Oコンドライト)と、遊離鉄の代わりに遊離炭素(C)と多量の水分(H2O)を含んでいる、炭素質コンドライト(Cコンドライト)などに分けられるが、炭素質コンドライトの量はかなり少ない。 このように隕石の種類は多いものの、地球型惑星の形成に大きな影響を与えたのは、核となった鉄隕石(約10%)、肉となった普通コンドライト(約80%)、水をもたらしてくれた炭素質コンドライト(数%)の3種類である。

表 1-5 に、代表的なコンドライト隕石の化学組成と、表 1-2 の太陽系(すなわち太陽)の組成から気相元素や揮発性酸化物の要素を除いた、不揮発性酸化物の比較値(カッコ内)を示したが、これらの値が酷似しているのが分かる。 特に炭素質(C)コンドライトは、原始太陽系星雲の気相元素以外の組成をそのまま持ち込んだ、最も原始的な物質であると考えられている。 そして、その組成と太陽大気のスペクトル分析の結果から、気相元素をも含めた太陽系の平均化学組成が推定されているのである。 また、表 1-5 の地球の化学組成の推定値も、普通コンドライトに約10%の鉄隕石を加えた値によく似ている。

コンドライト隕石は、鉄分を少し含んだカンラン石(Mg2SiO4)から成る直径1mm前後のコ

ンドリュールと、そのすき間を埋めている、鉄分(酸化鉄FeO,硫化鉄FeS等)と様〄な珪酸塩鉱物からから成るマトリックスとで形成されている。 普通(O)コンドライトはかなりの還元状態にあり、酸化鉄や硫化鉄の大部分は還元されて遊離鉄(Fe)となり、マトリックスの一部を成していることが上の表からも推測される。 一方、炭素質(C)コンドライトのマトリックスには酸化鉄や硫化鉄の他に水や炭素も含まれ、マトリックス中の珪酸塩鉱物も、コンドリュールの破片と思われる小さなカンラン石が多く、より進化した珪酸塩鉱物から成る普通(O)コンドライトのマトリックスとは大きく異なっている。

また、鉄隕石は、普通コンドライト中の遊離した鉄とニッケル、あるいは硫化鉄とほぼ同じ組成を持っている。 このため、鉄隕石は、炭素質コンドライトから二次的に生成した普通コンドライトが、更に分化(比重差によって分かれる)することによって形成されたものと考えられている。 従って、微惑星の衝突で形成された隕石は、微惑星時代の物質の進化、あるいは分化の程度の差によって、様〄な種類のものが生じたと言うことができよう。 以下、上記した3種類の隕石を中心に、その成因について考えてみた。

(1)炭素質コンドライトの生成と始原的なマトリックス

原始惑星(太陽系)星雲の無数の小さな渦巻から、重力収縮によって形成された微惑星は、直径が数kmから最大でも千km前後であったことは1-5(1)で述べた通りである。 直径が10km前後の微惑星は、極低温状態からそのまま凝結固化したもので、二次的な発熱(100℃以上)はほとんど経験していないと考えられる。 従って、炭素質コンドライトの母天体としては、このような小さな微惑星が想定される。

原始惑星星雲に含まれていた水分(氷)は、この小さな微惑星に閉じ込められ、重力収縮に伴う発熱で氷が溶けて水になったに違いない。 そして、マトリックスを構成している微細なカンラン石や酸化鉄、あるいは遊離炭素や硫化鉄は、水による部分的な低温変成作用(カンラン石成分の蛇紋石化など)程度は受けたものと考えられる。 しかし、高温・高圧の本格的な変成作用を

受けていないため、この小さな微惑星の衝突によって生じた破片である、炭素質コンドライトのマトリックス内には、これらの始原的物質がほとんどそのままの状態で残っている。 それでも、水による低温変成作用は、まるで砂利をセメントで固めるようにマトリックスを凝結させ、コンドリュールをしっかりと固定させるには十分な力があった。

一方、炭素質コンドライトの主材料であるカンラン石のコンドリュールも、二次的な変成作用は受けたことがないと考えられるが、中にはカンラン石が進化した輝石(MgSiO3)から成る球状の輝石コンドリュールを含む場合がある。 この原因としては、1-2(4)でも少し触れたように、コンドリュール形成前のカンラン石の凝集粒に、かなりの水分が含まれていたことが挙げられる。 この凝集粒が超新星爆発による高温・高圧状態にさらされて表面のみ溶融固化した場合、内部には未溶融のカンラン石と水分が高温・高圧のまま封じ込められ、この凝集粒が超新星の近くに位置した場合は冷却速度が通常よりも遅くなり、カンラン石が変成作用を受けて輝石に変わったものと思われる。

(2)普通コンドライトの生成と進化したマトリックス

直径が100km前後に成長した微惑星は内部の温度・圧力が上昇し、約1000℃、数千気圧にも達していた。 そしてマトリックス内では、遊離炭素による酸化鉄や硫化鉄の還元反応がゆっくりと進み、かなりの量の遊離鉄を生じたことが考えられる。 同様に酸化ニッケル(NiO)も還元され、遊離鉄と一緒になって微粒の鉄・ニッケル合金が形成されている。 更に、マトリックス中の水分や揮発性成分は、重力収縮による発熱のために徐〄に失われたものの、比較的高温・高圧下における水分の影響は長い間続き、マトリックス中の珪酸塩鉱物の変成作用が進んでいた。 炭素質コンドライトのマトリックスに多く見られた微細なカンラン石質の成分は、やはりマトリックス中に含まれていたカルシウム(Ca)やゕルミニウム(Al)の存在の下、ゆっくりと変成され、輝石を経て斜長石に変わったものと考えられる。

一方、カンラン石や一部輝石からできているコンドリュールは、その融点が1500℃前後と非

常に高いため、簡単には溶融できない。 そして、表層付近が変質しただけでその場に残留し、高温・高圧の下で変成作用を受けたマトリックスによって、しっかりと固められ普通コンドライトになった。 従って、普通コンドライトが炭素質コンドライトと異なる点は、鉄・ニッケル合金や斜長石を含んだマトリックスにあると言っても過言ではない。

隕石中の約80%を占めている普通コンドライトの平均的な鉱物組成は、カンラン石:40%、輝石:30%、鉄・ニッケル合金:15%、斜長石:10%、硫化鉄(トロイライト):5%となっている。 炭素質コンドライトをも含めたこれらのコンドライト隕石は、その主材料であるコンドリュールをはじめ、マトリックス中の各種鉱物も未分化の状態で分散している。 つまり、溶融・分化(溶融した鉱物が比重差で分かれる作用)の進んだ鉄隕石やエコンドライトとは、構造的に大きく異なっているのである。

(3)鉄隕石と石英「SiO2」を含むエコンドライトの生成

直径が1000km前後に成長した微惑星は、重力収縮によって内部の温度・圧力が、1500℃前後、数万気圧にも達したと考えられる。 そのため、遊離炭素による酸化鉄や硫化鉄の還元反応が急速に進み、生成した鉄・ニッケル合金はもちろん、コンドリュールも徐〄に溶融されてマグマを形成していた。 そして、マグマ中では分化作用が進行し、溶融した鉄・ニッケル合金は、比重が大きいために中心部に沈んで核となり、比重の小さいカンラン石などの珪酸塩鉱物は、浮上して次第に冷却されマントルを形成した。

また、微惑星の原料物質に多量に含まれていた水分は、その大半が蒸発によって失われたが、マントル中には溶融した珪酸塩と共に、まだかなりの水分が残っていた。 一旦溶融したカンラン石などの珪酸塩鉱物は、この水分の働きで変成作用(カンラン石を出発点とした珪酸塩鉱物の進化)がゆっくりと進むことになるのである。 そして、次章で述べるような地球の形成時とは異なり、隕石の衝突などによる外部からの熱の供給が非常に少ないため、微惑星の温度低下は表層部から中心部に向かってゆっくりと進んだものと考えられる。

このように、大型化した微惑星の中間層ではマグマの分化作用が進み、中心部には鉄・ニッケル合金から成る核が形成されつつあった。 一方、表層近くのマントルでは、一旦溶融したカンラン石からゆっくりと輝石や一部斜長石への転換が進んでいる。 そして、分化の進んだ大型微惑星同士が衝突して砕け散ると急激な圧力低下が起こり、マントル中の輝石や斜長石の一部から、石英(トリジマイト)が誕生したのである。

大型微惑星の衝突によって、中心部の核からは鉄隕石が、表層近くのマントルからはエコンドライトが誕生し、両者が混ざり合った分化途上の中間層からは石鉄隕石が形成された。 しかし、大型微惑星同士の衝突はその確率が非常に低かったため、これらの隕石の生成量は少ないものの、鉄隕石は、次章で述べる地球型惑星の形成に、最も重要な役割を果たしたと考えることができる。 そして、珪酸塩鉱物が最も進化した石英を、主にトリジマイトの形で含んでいるエコンドライトは、地質学上(珪酸塩鉱物の進化という観点から)非常に興味の持たれる隕石である。 参考書・文献:

1)「地球の探究」大原隆・西田孝・大下肇・編集-朝倉書店/1989.7.10

2)「造岩鉱物学」森本信男・著-東京大学出版会/1989.5.31

3)「地球・宇宙・そして人間」松井孝典・著-徳間書店/1987.7.31

4)「ドキュメント超新星爆発」野本陽代・著-岩波書店/1988.4.4

5)「宇宙大紀行」Roy A.Gallant 大林辰蔵・監修-福武書店/1988.11.1

6)「理科年表」国立天文台・編集-丸善/1989.11.30

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